2008年3月6日木曜日

Term3 終了

2月をもって、Term3が終了。
前述したように、今Temrから選択科目がスタート。
内容も、Core(Dukeの場合は、ケーススタディーを織り交ぜながらも、主眼は、
基礎知識、Framework(SWOT, 5F, VRIN etc)のアプリケーションにおかれている)
で培ったものを活かし、「あなたが経営者だったら、どう判断する?」
系の本格的なケースばかりであった。
「オペレーション(今ターム唯一のCore)」「財務分析」「管理会計」「資本調達」
の4つを履修した。すべて学びは大きかったが、特に面白かったのが、
「管理会計」と「資本調達」だった。

「管理会計」
この授業は、CostManagementとPerformanceManagementの2つがテーマである。
習ってしまえば当たり前なのだが、管理会計の仕組みを、企業戦略といかに整合するか、
という観点が新鮮であった。
CostManagement。
製品の原価計算をする際に
直接費(労働、材料)のコストオブジェクト(製造業だと、製品、サービス業だと、お客様であることが多い。)への配布は、経路が追跡可能なので特に問題にはならない。しかし、、間接費(間接労働費、間接材料費などもろもろ)は、コストドライバー(配布基準)とバーデンレート(配布比率)を決め、配布するのだが、そこに管理会計上の製品原価と実際の経済的原価の乖離が、さらに掘り下げると、会社の意図、社内政治のパワーバランスの証を発見できる、ということである。例えばジョンディア(日本でいうとヤンマーのような農業機械メーカー。勿論天気予報のCMはしていない)では、予定生産量を、過去の実際生産量とは、独立して計算し、それに基づいて、間接費の予算をたてる。前年の生産量をベースに予算をたてる会社は、前年が予算以上に売れた場合には、1製品あたりの製造原価が安くなり、売れなかった場合は、原価が高くなるのだが、ジョンディアは、間接費は、固定費(減価償却費や、管理費、本社からのアロケーションなど)だと考えている。またそのように立てた間接費をさらに、ActivityBasedCosting(ABC)にて、個々の製造プロセスのコストドライバーを綿密に決め、コストオブジェクトに配布している。資本集約型で、継続的投資が差別化の主な要因である、ジョンディアにとって、正確が原価の把握が、経営戦略上肝であるからだ。間接費の配布基準として、直接労働費や、直接材料費が使われることが多いのだが、例えば、基準が直接材料費の場合、労働集約型の製品の原価が必要以上に安価に計算され、材料費は高く、加工も機械ベースで、ほとんど直接労働費を使わずに製造できるような製品の原価が、過度に計算される。それをもとに値段設定をするので、直接材料費のウェイトが高い製品は売れずに、淘汰されていく(DeathSpiral)。その裏では、恩恵をうけている部門が、このコストシステムの延命を画策している。
PerformanceManagement
社員のインセンティブをいかに高めるか。社員をどう評価するか。
単純に考えると、評価の仕方は、2つ。
行動をとっているか、業績をだしているか。管理部門は前者、
ProfitCenterやInvestmentCenterは後者で評価されることが多い。
ケースで面白かったのが、あるOnlineShopのCIOの話。
このCIOは、On-lineShopビジネスにおけるすべての権限が与えられており、
評価は、On-lineShopにおける業績できまる。1年目は順調に売上を伸ばし
目標を達成したが、2年目の夏に、OutsourceしていたServiceProvider(NTTみたいなところ。全米最大手)のサーバーがダウンし、10日ほどビジネスがストップしてしまう。
まだ2年目ということもあり、CIOは、10日の休業で
失った信頼回復のために、多額な広告費用及び総量無料(この会社は確か木製バスケットをうっていた。)のサービスを一時的に展開した。結果通期で、目標を大幅に下回ってしまった。
さて、あなたがCEOならこのCIOをどう評価する。
理論でいくと、「すべての権限が与えられており」、「業績で評価される」ので、Outsource先のサーバーがダウンすることも見添えて、その場合の過失をServiceProviderに請求できるような条項を契約を盛り込んだり、それが無理であれば、Emergency用のサーバーを別の会社と契約したり、保険をかけたり、といった手段を常日頃とっておかなければいかんし、そこで生じた損失を補う活動を含めて、すべてはCIOの責任、となる。このケースに直面するまで、権限が与えられて業績で評価されることの意味を、ここまで考えていなかった。

「資本調達」
いつ、いくら、なぜ、どのように、資金調達をするのか。
これが、この科目のテーマ。
小生、金融業界とはどんな世界か、具体的なイメージをなかなかつかめないでいたが、
この授業を通じて、かなりはっきりイメージがもて、かつ求められるスキルについても、
肌で感じることができた。
Enronのビジネスモデル、TiffanyのLBO(Tifannyは一時期Avonの子会社だった)、
製薬ベンチャーのIPO、RegionalBankの地元企業からの借り入れ依頼への対応、
保険会社の資金運用、ファイナンス会社のIPO、フィリップモリスのDebtFinanceなど
12のケースを扱ったが、ひとつひとつ今でも割と鮮明に覚えている。
特に個人的に面白かったのは、RegionalBankの地元企業(BeerMaker)からの借入依頼への対応
のケース。このビールメーカー(エールビールのみ)は、すでにこのRegionalBankからお金を借りている既存顧客。資金調達の目的は、ラガービールへの参入に際するビール工場の設立資金である。
そもそもラガーが売れるのか、売れなかった場合に備え、ラガービールのビール工場を担保にとる意味があるのか、他に担保として何があるのか、ワーキングキャピタルは、工場設立後どう変わるのか、ラガービールのビジネスがうまくいく可能性をどうMonitoringするのか、などなど包括的に、資金調達を受ける際に発生するリスクを把握し、それをヘッジする手段を考案し、採算分析し、それをCovenant(契約)に盛り込み、後は祈る(笑)。これがすべてではないだろう、銀行マンの主業務のひとつであることは間違いないだろう。金融業界の重要なスキルは、いかにリスクを包括的に把握し、それをヘッジする手段を考え、不可能を可能にするか、だと思った。正確なリスク把握力、リスクヘッジ力、及びリスク許容度、この3つが、金融業界で成功する上での重要な要素だと感じた。

冒頭にも書いたが、この2つの授業に共通していたのが、
1)Coreで学んだことのフル活用が前提になっていること
2)最後は、いつも「あなたならどうする?」であること
の2点である。

とくに2)については、自分の思考プロセス、コミュニケーション能力、精神が試される
もっともチャレンジングでエキサイティングな部分である。

Term1・2では、知識習得を主眼にしていたが、
Term4は、さらに2)において、いかに自分らしさ、を表現できるか、
ここにフォーカスをあてていきたいと思っている。

来週末まで春休み中なので、それを利用し、週明けから、
軽く旅行にいってまいりやす。