2009年1月26日月曜日

ビジネススクールの功罪

2年になって、いわゆる組織論、人材管理、社内政治と力などソフトな科目を中心にとっている。これらの学問の根底に流れている理論は、いわゆる社会心理学。組織の中で、力がどこにあるか、自分がどうしたら組織内で力をもてるのか、いかに人を巻き込み、目標を達成し続けることができるか。ジャックウェルチGE元CEOやジョンソン元大統領が、まだ頭角を現す若き頃に、何をして政治力を持つようになり、なぜ成功することができたのか、を学び、その教訓を、MBA卒業後にいかに活用できるか、を皆でディスカッションする、というものだ。人の心理がベースなので、だれでもここで学ぶ内容については、思い当たることがある。たとえば、営業活動において、クライアント企業の課長と付き合いがあり、その方に上司(部長)の紹介をお願いしたい、とする。その際、いきなりお願いするのではなく、例えば、その課長が夜遊びがすきだとすると、一度夜お誘いをする。そこでは、課長の期待を超える接待をし、その場では何もお願いせずに、その場を閉める。そして、しばらくしてからその課長に訪問をしてみる。そうすると、社会心理学によると、その課長は、自分に対し負債を背負っているかのような気持ちになっているため、自分に何か恩返しをしたい、と思っている。そこで、「課長、ひとつお願いがあります。」と切り出すと、上のプロセスがない場合に比べると、部長を紹介してもらえる確率があがるのだそうだ。このような心理学をたくさん学ぶのであるが、根本的に、なぜこのような政治を学びたいのか、という動機についてディスカッションすることはあまりない。ここにビジネススクールの功罪の罪の部分がある、と真剣に思っている。間違いなく知識は力である。新しい知識を得、それを活用することにより、人は行動パターンを変えていく。このような社会心理学に終始した話ではないが、ビジネス倫理や、モラルについてビジネススクールはある意味野放しである。この学習をしていて思い出したのは、丁度一年前に履修していたRaisingCapitalという授業の一番最後で扱った、エンロンのケースである。エンロンの幹部は、米国のTOPMBAを卒業している。財務の高等テクのみならず、小生が今学習している組織論や社内政治論などを学び、それを駆使して、虚構をベースに従業員を、SECを、投資家を、Auditorをだまし続けていた。たくさんのMBA学生を雇い、当時今ほど普及していなかったDCFによるMarkToMarketによる顧客との長期契約の現在価値を弾き、それを証券化して販売。Valuationモデルを高度に複雑化し、わからない=無知、頭が悪い、と思わせるような環境を作るために、Valuation担当はTOPMBAに限定。Audit対応については、エンロンとの長期契約を強く望むパートナーの願いをかなえる代わりに、実質Auditの内容をコントロールし、SECにMarkToMarketでの資産価値評価法を認めさせ、長年に渡り社内及び社外をだまし続けてきたのだ。今回のSubprimeの件も、これと同じような理論で、結果米国のみならず世界を巻き込む大不況をもたらした。MBAの合否の基準において、倫理の比重が大きくなることを強く望む。

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